株式会社大和総研と株式会社レセプトは、自己主権型電子証明書サービスの提供に関する業務提携の覚書を締結しました。
1.業務提携覚書締結の背景
近年、不正アクセスやサイバー攻撃による個人情報漏えいの危険性が高まっています。このような状況に対応するため、個人情報保護法では、個人情報の漏えいが発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合には、個人情報保護委員会への報告及び本人への通知が義務付けられています。
このような背景の中、個人情報漏えいリスクに対する危機感の高まりや、企業における個人情報管理負担の増大から、個人と企業の双方において、不要な個人情報のやり取りを避けたいというニーズが高まっています。
しかし、現状では、氏名の確認だけであっても、運転免許証などの本人確認書類の提示が必要であり、不必要な個人情報が開示される結果となっています。本人確認書類の一部を黒く塗りつぶしたコピーを提出するなど、開示範囲を限定しようとする試みもありますが、黒く塗りつぶす手間がかかる、真偽の確認が難しいなど、別の問題が生じます。
大和総研とレセプトは、この問題を解決するために、"自己署名型電子証明書サービス "の提供を目指しています。このサービスでは、本人確認書類の情報を電子化して利用者のスマートフォンに保存し、利用者は開示が必要な最低限の本人確認情報のみを選択して提出することができます。また、ブロックチェーン技術により、情報取扱者は受け取った情報の真偽を確認することができます。これにより、真正性を担保しながら個人情報の開示範囲を限定することに伴う業務負担を軽減し、個人情報を提供する側と取り扱う側の双方のニーズを満たします。
大和総研は、大和証券グループのデジタル戦略の中核企業として、証券業務の基幹システムをはじめとする高品質で信頼性の高いサービスを提供するとともに、ブロックチェーンやAIなどの先端技術を活用したビジネスモデル変革を推進しています。
Receptは、"歴史を変える企業になる "をミッションに掲げるDID*1/VC*2技術に特化したスタートアップ。主力製品である「proovy」は、ウォレットを通じた電子証明書の発行・検証・管理を可能にする統合プラットフォームです。2024年3月のサービスリリース以来、教育機関や認証発行機関を中心に採用され、アジアで2社目となるEBSI(European Blockchain Services Infrastructure※3)国際認証を取得。
そしてこの度、大和総研が金融業界で培ってきたセキュアなシステム開発技術やブロックチェーン技術と、レセプトのDID/VC分野における知見やサービスを組み合わせることで、両社は "自己主権型電子証明書サービス "の開発を推進することになりました。
2.覚書の主な内容
(1) 自己主権型電子証明書サービスの事業展開に向けた優先交渉
両社は、レセプトの「proovy」をベースとした安全で便利な電子証明書サービスの共同開発に向けて、優先交渉を行ってまいります。
(2) 市場開拓とビジネスモデルの確立
両社は、電子証明書の認知度向上を目指し、新たな市場開拓を推進するとともに、業界標準となるビジネスモデルの確立を目指します。
- DID(Decentralized Identifier)は、分散型デジタルIDを実現するための識別子です。デジタルIDにより、ユーザーはデジタル空間における自身のIDを安全かつ独自に管理することができます。関連するクレデンシャルは、ユーザーが管理するデジタルウォレットに保存され、情報の選択的な開示が可能です。ユーザー中心の分散管理により、組織や国境を越えたデジタルIDの相互運用性が向上し、より柔軟で安全なデジタルIDエコシステムの実現が期待されます。
- VC(Verifiable Credentials)は、検証可能なデジタル証明書です。個人が自分のクレデンシャルを安全に管理し、必要な情報のみを選択的に受信者に提示することができます。受信者は容易に真正性を確認することができ、デジタル環境における安全な本人確認を実現します。
- EBSI(European Blockchain Services Infrastructure)は、欧州委員会と欧州各国政府が共同で設立したブロックチェーン基盤。その目的は、EU全域で信頼性の高いブロックチェーンサービスを提供し、デジタルID、教育認証、社会保障、ビジネス取引など様々な分野での利用を促進することです。
ソース PRタイムズ