日本の旭化成は、川崎工場(神奈川県川崎市)において、グリーン水素製造用アルカリ水電解槽のセル枠および膜の製造能力を増強するための政府支援を受けました。その目的は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという日本の目標達成に貢献する技術の安定的な国内製造サプライチェーンを確立することです。
化石燃料に代わるクリーンエネルギーとしてのグリーン水素への期待に後押しされ、世界の水電解槽の年間設置容量は2030年までに31GWに達すると予測されています。そのため、水素製造の需要拡大に対応するためには、電解槽と関連部品の製造能力を拡大する必要があります。
何十年もの間、日本は水素製造・利用技術の分野でリーダー的存在でした。グリーン水素は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという日本の「グリーントランスフォーメーション(GX)」戦略の重要な礎石の一つです。この戦略の一環として、「GXサプライチェーン構築支援事業」は、経済成長を育みながら、日本の気候変動目標の達成に貢献する、世界初の最先端技術の国内製造サプライチェーンの構築を目指しています。
年間生産能力を2GWに増強
旭化成は、水素製造用アルカリ水電解槽の総合メーカーです。旭化成は、2028年までに、神奈川県川崎市にある自社工場内に、セルフレームと電解膜の製造能力をそれぞれ2GW以上とする新工場を建設することを提案。12月18日、日本政府はこの資金支援提案を採択しました。本案件の総設備投資額は約350億円と試算され、旭化成は最大114億円の補助を受ける見込みです。
旭化成のイオン交換膜クロルアルカリ電解プロセスの現在の生産能力を含めると、この拡張により、同社のセルフレームと膜の年間生産能力は合計で3GWを超えることになります。
旭化成は、世界中の顧客から高い信頼とシェアを獲得しているクロールアルカリ電解事業において、不透明な水素市場の拡大と需要の高まりの双方に対応できる体制を構築することで、2つの電解事業のシナジーを創出することを目指します。
「旭化成の竹中正己執行役グリーンソリューション事業本部長は、「水素社会がいつ実現するか不透明な中、市場拡大の機会を捉え、水電解装置市場でシェアを獲得するためには、生産体制の確立・拡充を急ぐ必要があります。「2030年に向けた市場拡大を見据え、新たな水素エコシステムから生まれる巨大市場を見据え、さらなる設備投資や海外を含めた既存事業で構築したパートナーとのアライアンスにより、世界最大の水電解装置の生産能力・供給体制の構築を目指します。これらの取り組みにより、2030年頃までに欧米・インドを中心とした世界の主要水電解装置市場で20%のシェアを目指し、世界のグリーン水素供給基盤の強化に貢献するとともに、水素分野における日本の産業競争力を高めてまいります。"
「旭化成執行役員イオン交換膜・マイクロザ・水処理・グリーンソリューション事業推進担当の武田健二は、「再生可能エネルギーによる安価な電力の不足や不安定な供給は、グリーンエネルギー市場のさらなる拡大にとって深刻な課題です。「グリーン水素の安定供給体制の確立は、水素社会の実現に向けたもう一つの大きな一歩です。GXを全面的に推進する経済産業省と連携し、イオン交換膜業界における強力なネットワークを活かしながら、水電解分野におけるグローバルリーディングサプライヤーを目指します。"
ソース ビジネスワイヤー