日本アイ・ビー・エム株式会社は、「金融商品適性診断支援AIアプリ」を活用した金融機関向け導入支援サービスを開始すると発表しました。本アプリは、順天堂大学、グローリー株式会社と共同で開発した、脳の健康指標から金融商品の適合性を診断するAI搭載のアプリです。同時に、三菱UFJ信託銀行株式会社では、高齢者向け金融サービスの充実を図るため、主要6店舗で本アプリの活用を開始します。
背景と発展
高齢化社会を迎え、晩年の経済的な安心と幸福を確保するため、健康に配慮した資産運用サービスのニーズが高まっています。特に金融商品取引においては、認知・判断能力が加齢とともに低下するため、その変化に対応した金融サービスが必要となります。
このニーズに応えるため、順天堂大学は2018年から臨床試験を実施し、認知症などの神経疾患患者や健常者を含む600例以上を分析。この研究により、会話や表情の分析を通じて認知機能レベルを推定できるAIシステムを開発。このAIを日本IBM、グローリーと共同で改良し、金融業務に特化したアプリケーションを開発しました。
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2023年3月に三菱UFJ信託銀行の一部店舗で1ヶ月間の実証実験を行い、AIアプリの実現性と業務効率を検証しました。その結果、業務フローがスムーズに機能し、客観的な評価が可能であることを確認。ご高齢のお客さまからは、"シンプルでわかりやすい""楽しく使える "と好評をいただきました。
イニシアチブの概要
日本IBMは、AIを活用した金融エコシステムを構築することで、金融機関が金融取引の安全性と信頼性を向上させることを目指します。本日より、日本IBMは全国の金融機関向けに導入支援サービスを提供し、AIアプリの普及を推進していきます。
三菱UFJ信託銀行は、主要6支店でAIアプリを導入します。2023年3月の試験運用では、数十名のお客さまが自発的にアプリを利用し、貴重な知見を得ることができました。三菱UFJ信託銀行は、今回の導入により、AIを活用した評価を参考に、さらなるデータ収集に努め、高齢のお客さまがより安心して金融商品の取引や運用を行えるよう支援します。
今後に向けて 日本IBM三菱UFJ信託銀行は、順天堂大学、グローリー株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社と共同で、年齢による画一的な判断基準ではなく、一人ひとりの認知・判断能力を重視した金融環境の実現に向けて取り組んでまいります。両社が共有するゴールは、金融取引におけるセキュリティとアクセシビリティを向上させ、パーソナライズされた金融ソリューションで高齢のお客様を支援することです。