株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進とデジタル導入の定着化を支援する新しい組織診断サービス「IIJデジタルカルチャー可視化ソリューション」の提供を開始すると発表しました。
また、IIJは、DXを推進する人材・組織の現状とその成功要因を調査・分析したオリジナルレポート「DXしない企業が生き残る~デジタルが日常に根付く組織風土とは~」を発表しました。同日開催された記者説明会では、IIJが調査・分析レポートの内容と新ソリューションの概要を説明。
日本企業のデジタル活用の現状を分析した報告書を発表 IIJは、同社が提供する「IIJ DX人材診断ソリューション」を受検した65社、約3,100人のデータをもとに、日本企業のデジタル活用の現状を分析した報告書を新たに発表しました。IPA(情報処理推進機構)の「DX推進指標」に基づく成熟度レベルとの関連付けを行うことで、デジタル活用に成功している企業に共通する「人材・組織特性」を明らかにしました。さらに、受験企業へのインタビューを通じて得られた知見をもとに、"DXをやらない企業 "になるための提言をまとめました。IIJプロフェッショナルサービス本部デジタルイノベーション部長の中津聡氏は、DX推進を取り巻く現状について、次のようにコメントしています:「IIJでは、DXは変革ではなく、競争力、人財、ESG経営を支える企業文化として定着させるべきものだと考えています。デジタル活用が日常業務に定着している企業を "DXに取り組まなくなった企業 "と定義しています。しかし、多くの企業は、DXプロジェクトをゴールとする「繰り返しDX企業」であり、その取り組みは断続的・短期的で、現場疲労を招き、形骸化しています。IPAの「DX推進指数」でも、DXが文化として定着している成熟度レベル4以上の企業はわずか1.3%しかありません。"
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こうした背景を踏まえ、本調査分析レポートでは、「IIJ DX人材診断ソリューション」のテストデータから可視化した「DX人材特性」「ITリテラシー」「思考特性」と、IPAの「DX推進指標」に基づく成熟度との相関分析を実施。その結果、デジタル活用の成熟度が高い企業には3つの共通点があることが明らかになりました:"変革に強い人材が多い"、"全社的なITリテラシーが高い"、"思考特性が多様"。具体的には、イノベーター分類のスコアと企業内の成熟度の相関を調べたところ、イノベーターやアーリーアダプターといったイノベーション志向の特性を持つ人材が集中している企業ほど、成熟度が高いという傾向が見られました。この傾向は、エグゼクティブに注目するとさらに顕著になります。
企業内のITテストの平均スコアと成熟度の相関を調べたところ、すべての受験者について弱い正の相関が観察されましたが、エグゼクティブに注目するとより強い正の相関が観察されました。このことから、企業全体のITリテラシーの高さがDX成熟度に影響し、特に経営幹部のリテラシーの向上がさらなる成熟度の向上につながることが推察されます。また、思考特性の平均スコアと成熟度の間にはほとんど相関がなく、思考特性自体の傾向は成熟度に影響しないことがわかります。逆に、企業内における思考特性スコアのばらつきについては、"自己主張性、新規性、創造的問題解決 "の分野で比較的有意な正の相関が見られました。これは、これらの思考特性の強さのばらつきが大きい(多様なタイプが共存している)企業ほど、結果的にDX成熟度に良い影響を与えていることを示唆しています。さらに同レポートでは、分析対象企業のうち32社に対し、DXに関する「戦略、IT活用、熱意」についてインタビューを実施し、各要素を3段階で評価。インタビューの結果、「戦略の明確さ」と「デジタル技術の活用意欲」は企業によってばらつきがあることが確認されました。特に、経営層が伝える戦略が明確な企業は、現場の理解や共感が高く、成熟度が高い傾向が見られました。一方、戦略が曖昧であったり、意欲が乏しかったりする企業では、現場とのミスマッチが生じ、全社的な導入が進まない傾向が見られました。DXの定着・成熟を阻む大きな壁として、企業内の「意識の差」が浮き彫りになった今回の調査。中津氏は、「DXの成熟度を高めるためには、単にテクノロジーを導入するだけでなく、組織の文化的基盤を確立することが不可欠です。これは、意識、人材、スキル、マインドの4つに分けられます。さらに、経営層と現場など組織間の意識のギャップを的確に把握し、この4つの領域を可視化することで改善サイクルを設計・実行することが重要です。この取り組みは、人財マネジメントやESGマネジメントの実効性を高める活動に直結しています。"
企業内の意識格差やギャップを可視化し、DXの推進やデジタル活用の定着を支援IIJは、今回の調査・分析レポートの結果を踏まえ、企業内の意識ギャップや格差を可視化し、DXの推進とデジタル活用の定着を支援するソリューション「IIJデジタルカルチャー可視化ソリューション」を新たに提供開始します。新ソリューションは、DX推進に重要な「戦略」「組織」「人材」「IT活用」「モチベーション」の5つの要素を、3つの診断を通じて総合的に可視化:人材適性診断」「デジタル成熟度診断」「意識ギャップ診断」の3つの診断により、DX推進に重要な「戦略」「組織」「人材」「IT活用」「モチベーション」の5つの要素を可視化。「その結果を「デジタル成熟度診断レポート」としてまとめました。これにより、DX推進の課題を全体的に把握し、組織の現状に合わせた最適なアクションプランの策定を支援します。デジタルイノベーション部ビジネスインテグレーション課課長代理の北村レオ氏、 アイアイジェイ プロフェッショナルサービス第一統括本部は、「『人材適性診断』は、21問のITテストと19問のDXテストで、組織内の社員の特性やスキルを診断します。組織内の人材分布を可視化し、改善点を明確にすることで、成熟度を高められる組織・人材を育成します。デジタル成熟度診断」は、IPAの「DX推進指標」に沿ってデジタル活用の現状を5つの軸で評価し、社員の匿名回答から全社的な現場の実態を的確に把握します。意識ギャップ診断」は、経営層と現場との「意識」や「満足度」のズレや違いなど、組織内・組織間のギャップを可視化。これら3つのアセスメントから得られたデータは統合され、インサイトレポートとして提供されます。"各従業員アセスメントは、ウェブテストとアンケート調査で約30分と、短時間で完了します。インサイトレポートは診断から2週間以内に作成され、レポートはオンラインで配信されます。
インサイトレポートでは、「グローバルな横断的分析」と「組織別の詳細分析」により、ギャップを特定し、どのような対策を講じるべきかなどのアクションプランを明確にします。"インサイトレポート "提供後も、改善サイクル全体をサポートします。インサイトレポートをもとに、全社・各部門の施策を "連動プラン "として設計し、コンサルタントが個別に対応します。DX戦略・企画から開発・評価、展開・定着、運用・管理まで、一貫してサポートし続けます。"料金体系(税別)は、参加者100名までが50万円。101名以上は参加人数に応じて増額:500名までは1名につき1,250円、501名から1,000名までは1名につき1,000円、1,001名以上は1名につき500円。主に企業のDX推進部門、情報システム部門、経営企画部門などに提供し、今後1年間で100社への導入を目指します。
ソース ヤフー

