様々な業種向けに幅広い現場IoTプラットフォームを提供するMODEは、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、セーフィーとの業務提携を発表しました。両社は、センサーデータと映像データ、生成AI技術を組み合わせることで、より高度な業務支援ソリューションを開発します。
建設業、製造業、小売流通業など幅広い業種の作業現場にIoTプラットフォームを提供するMODEは、2025年2月12日、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)およびセーフィーとの業務提携を発表。センサーデータと映像データ、生成型AI技術を組み合わせることで、より高度な業務支援ソリューションを開発するとのこと。生成型AIアシスタントが進化する作業現場のIoTデータプラットフォーム MODEが2022年から提供する「BizStack」は、あらゆる作業現場のセンサーデータ(IoTデータ)を収集・統合・管理するIoTプラットフォーム。また、2023年には、生成型AI技術を活用した「BizStackアシスタント」機能を追加し、ビジネスチャット(Microsoft Teams、directなど)を通じて、センサーデータをもとにAIアシスタントが質問に回答できるようにします。MODE共同創業者兼CEOの上田学氏によると、昨年(2024年)から「BizStack Assistant」を導入し、大規模な建設現場などで活用が始まっているとのこと。"AIアシスタント "はチャットシステム上に常駐し、ユーザーは他のメンバーと話すのと同じ感覚でAIアシスタントに指示や質問をすることができます。将来的には、インカムやトランシーバーを使ったリアルタイムの音声コミュニケーションにもAIアシスタントが参加し、音声で指示を出したり、音声で回答や報告を受けたりすることも可能になるでしょう」(モード・上田氏) さまざまな現場でBizStackの活用が進むにつれ、新たなニーズとして浮上してきたのが "動画データ "の高度活用。例えば、BizStackがセンサーデータの変化を検知してアラートを発したとしても、やはり人間は現場で実際に何が起きているのかを確認したいもの。そのため、"センサーが捉えた変化を動画でスムーズに確認できる仕組みがあれば、非常に便利だと考えました"。
もう一つの進化は、生成AIの分野で「マルチモーダルLLM」が登場したことです。マルチモーダルLLMは、テキストデータだけでなく、画像や動画の内容も理解することができます。この技術を取り入れることで、さまざまな現場作業をサポートすることが可能になります。具体例として、MODEの渡辺浩眞プロダクトマネージャーは、"ヘルメットをかぶっていない人が現場に入ったら通知する"、"現場の混雑状況を時系列データとしてグラフ表示する"、"昨日、生コン車(コンクリートミキサー車)が何台現場に入ったかをカウントする "といった簡単な活用例を紹介。こうした映像データを活用した機能は、BizStack Assistantの追加機能(スキル)として順次実装していく予定とのこと。上田氏によると、数カ月以内にAIアシスタント経由で映像を呼び出すといった簡単な機能を、年内にはAIアシスタントに監視指示を出して継続的に映像監視を行う機能などを導入したいとのこと。映像ソリューションの両社も、業務提携に大きな期待を寄せています。
こちらもお読みください: 第3のAIソリューション、マルチAIエージェントシステムの接続を拡大
MODEはこれまで、パートナープログラムを通じて50社以上のIoTセンサーデバイスメーカーと提携し、BizStackプラットフォームとの連携を実現してきました。今回、カメラ映像分野のパートナーとして、キヤノンMJ、セーフィーと提携します。セーフィーは、カメラ映像を監視・録画するクラウドサービス分野で高い国内シェアを誇っています。同社の開発本部長兼CTOの森本一真氏は、同社のサービスは様々な業界で幅広く利用されており、現在2万75万台(2024年9月末時点)。森本氏は、MODEとの提携に期待することとして、「様々なセンサーデータとの連携による課題解決の幅を広げ、映像データそのものの価値を向上させること」と、「ジェネレーティブAIと組み合わせることで、柔軟で多様な制御を可能にし、高度な画像解析を実現すること」の2点を挙げました。Safeeは、カメラの映像データを活用したAIアプリケーションの開発を効率化する「AIソリューションプラットフォーム」の構築に取り組んでいますが、将来的にはBizStackを介したセンサーデータ連携も検討したいと述べています。一方、キヤノンMJは、ITソリューション事業における注力分野の一つとして映像ソリューション事業に注力。事業を推進する中で、カメラ映像の位置づけは「単に映像を『見る/撮る』フェーズから『活用する』フェーズに移行している」と同社ソリューション開発センター長の寺久保智明氏。活用フェーズに入ったお客様からは、『この映像を他のシステムと連携できたらもっと便利なのに』『POSやセンサーの数値情報だけでなく、現場の映像が見られたらもっと便利なのに』『映像を見てすぐに次の作業に必要な手順書が表示されたらもっと便利なのに』といった声が上がっています。つまり、ワークフローをいかに効率化するかが重要視されているのです」(キヤノンMJの寺久保氏)。こうした顧客ニーズに応えるには、映像データやセンサーデータ、マニュアルなどのデジタルドキュメントまで、現場で簡単にまとめて閲覧できるソリューションが必要だと説明。そんな中、MODEの「BizStack Assistant」を見て衝撃を受け、「まさにこれだと思った」と提携を決めた背景を説明。キヤノンMJグループは2010年代以降、ネットワークカメラ(IPカメラ)、VMS(映像管理ソフト)、VSaaS(映像SaaS)、映像解析ソフト・AIなどの分野で企業買収や資本・業務提携を続けてきました。今回、プラットフォームとフロントエンドアプリケーションを持つMODEと提携したことで、「これらが有機的につながり始めている」と述べ、課題解決の領域が広がることに期待を示しました。
一方、MODEの上田は次の2つの理由を挙げています。 モード 両社の画像処理ソリューションはすでに多くの現場で導入されており、MODEの技術を見てその価値をすぐに理解し、提携交渉もスムーズに進みました。 キヤノンMJ とSafeeはすでに2017年から資本・技術の両面で提携し、ソリューションの共同開発やクロスセルに取り組んでいます。MODEの上田は "その(枠組みに)参加する形 "と表現。また、MODEは同日、シリーズB追加ラウンドの資金調達を発表。同社は4社から総額約8億円(530万ドル)を調達:キヤノンMJ、サフィ(サフィ・ベンチャーズ)、KDDIオープンイノベーションファンド、キリンヘルスイノベーションファンド。シリーズBでの調達額は約21億円、調達総額は約45億7000万円(2976万ドル)。
ソース ヤフー