日本電信電話株式会社(NTT)は、4K解像度、30fpsまでの超高精細映像をリアルタイムにAI推論処理するための大規模集積回路(LSI)を発表しました。この低消費電力技術は、従来のAI推論処理ではリアルタイム処理のために超高精細映像の圧縮が必要であったエッジ端末や電力制約のある端末向けに設計されています。
例えば、このLSIをドローンに搭載した場合、従来のリアルタイムAIビデオ会議技術ではドローンの飛行高度が30m程度に制限されていたのに対し、ドローンは日本のドローン法定飛行高度である上空150mまで人や物体を検知することができます。また、ドローンを使ったインフラ点検など、オペレーターの目視外での作業を進めることで、労力とコストを削減することも可能です。
「NTTリサーチ代表取締役社長兼CEOの五味一は、次のように述べています。「低消費電力のAI推論と超高精細映像の組み合わせは、インフラ点検から公共安全、スポーツのライブイベントまで、膨大な可能性を秘めています。「NTTリサーチ代表取締役社長の五味一は、次のように述べています。「このような成果を達成したNTTのLSIは、この種のものとしては初めてであり、エッジでのAI推論や電力制約のある端末でのAI推論を実現する上で重要な一歩となります。
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エッジ端末や消費電力に制約のある端末では、AIデバイスの消費電力は、AIサーバに使用されるGPUの消費電力に比べ、数十Wから数百Wと桁違いに低い消費電力に制限されます。LSIは、NTTが開発したAI推論エンジンを搭載することで、こうした制約を克服しました。このエンジンは、検出精度を確保しながら計算量を削減し、フレーム間相関や動的ビット精度制御により計算効率を向上させています。本LSIを用いた物体検出アルゴリズムYou Only Look Once(YOLOv3)は、20W以下の消費電力で実行可能です。
NTTは、事業会社であるNTTイノベーティブデバイス株式会社を通じて、本LSIを2025年度中に商品化する予定です。NTTは、このLSIを、同社が毎年開催している研究・イノベーションサミット「Upgrade」で発表し、デモンストレーションを行いました。アップグレード2025は、2025年4月9日〜10日にサンフランシスコで開催されます。
将来的には、NTTとIOWNグローバルフォーラムが主導するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)イニシアティブのデータセントリックインフラストラクチャ(DCI)への応用を検討しています。DCIは、IOWNオールフォトニクスネットワークの高速・低遅延機能を活用し、スケーラビリティの障害、性能の限界、高いエネルギー消費など、現代のネットワークインフラの課題に対処するものです。
さらに NTT この LSI は、株式会社 NTT データが独自に開発した属性ベース暗号化(Attribute-Based Encryption: ABE)技術と連携しています。ABEは、データレイヤーにおけるきめ細かなアクセス制御と柔軟なポリシー設定を可能にし、共有秘密暗号化技術により、既存のアプリケーションやデータストアに統合可能なセキュアなデータ共有を実現します。
ソース ビジネスワイヤー