住友電気工業株式会社は、住友電工情報システム株式会社が提供する「Enterprise Search QuickSolution®」を活用し、約2週間という短期間でグループ全体の大容量RAG基盤を構築した。このインフラは、RAGの技術を使って必要な情報を検索・抽出し、生成AIと連携させることで、ファイルサーバーなどに蓄積された数百TBの社内情報から、精度の高い質問応答を行う機能を提供する。その結果、住友電工グループの約29万人が対話形式で社内情報を収集できるようになり、ナレッジの有効活用による生産性向上とデジタルトランスフォーメーションが可能になった。
2022年にChatGPTが登場したことで、多くの企業がジェネレーティブAI活用の重要性を認識し、最適な活用方法を模索している。住友電工も積極的にジェネレーティブAIの活用を進めており、2023年10月にはグループ各社にChatGPTを安心して利用できる環境を展開した。同環境の利用が進むにつれ、各部門のユーザーから「社内情報をジェネレーティブAIで活用したい」という声が多く寄せられ、社内情報に対応できるジェネレーティブAIの必要性が浮き彫りになった。
問題解決の鍵となったのは、QuickSolution ®とRAG*1だった。QuickSolution ®は、ファイルサーバーや各種社内システムを横断してファイルの中身を検索できる国産のエンタープライズサーチである。QuickSolution ®はRAGを活用し、社内情報の検索結果をもとに質問に回答する生成型AI統合機能を提供する。
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住友電工は、グループ全体の検索基盤としてQuickSolution®を利用しているが、QuickSolution®の生成AI連携機能を活用し、社内情報の回答が可能なRAGプラットフォームを構築した。これにより、システム横断的にファイルサーバー(400TB)や文書管理システム(180万文書)から必要な情報を抽出し、その内容をもとに回答を生成することが可能になった。特筆すべきは、数百TBという大容量のRAGプラットフォームをわずか2週間で構築したことだ。これを可能にしたのは、通常のRAGシステムでは生成AIと連携させるためにデータをクラウドにアップロードする必要があるが、QuickSolution®の生成AI連携ではデータの保存場所を変更する必要がないためだ。
このRAGプラットフォームには3つの特徴がある。一つ目は、正確な回答を提供することです。RAGの回答の質は抽出された文書の精度に依存するが、QuickSolution®の高精度検索で絞り込まれた信頼性の高い内部情報を生成AIと連携させることで、正確な回答を提供する。2つ目は、ユーザーの閲覧権限を考慮できる点だ。QuickSolution®はアクセス権に基づき横断的に文書を検索・抽出できるため、複数のシステムに分散する数百TBの社内情報から適切な権限に基づいた回答を提供できる。3つ目は、セキュアな運用が可能であること。連動する生成AIに出題内容を学習させない設計※2になっており、個人情報や機密情報を含む出題が流出する心配がない。
現在、RAGプラットフォームは、国内住友電工グループ約4万人、海外約29万人の誰もが利用でき、ナレッジの有効活用による生産性向上やデジタルトランスフォーメーションの推進などの効果を上げている。以下はその一例である。
住友電工 は、今後もジェネレーティブAIの活用を積極的に推進していく方針だ。RAGプラットフォームの継続的な改善を図るとともに、同プラットフォームの情報源となるデータソースの拡充を計画している。QuickSolution®検索とジェネレーティブAIの融合により実現したRAGプラットフォームを最大限に活用し、情報検索の効率化と社内ナレッジの有効活用を推進することで、競争力のある組織づくりを目指す。
ソース PRタイムズ