製造業のエンジニアリングチェーンを最適化するDXプラットフォーム「WALL」を開発する株式会社SUPWATが 未来宇宙輸送システム株式会社2024年12月には、AI技術と構造解析を融合したサロゲートモデルと、これを用いた設計最適化システムの開発を完了しました。また、第2フェーズとして、このモデルを用いた漏れを防止する新たな軽量タンク構造の解析・設計にも着手しましたので、併せてお知らせいたします。
ISCは、"人も荷物も毎日届けられる世界 "をビジョンに掲げ、宇宙旅行を可能にする次世代輸送システムの実現を目指している会社です。宇宙でもそれが当たり前になるはずです。"2028年3月までに人工衛星を打ち上げるロケットの開発を目標としており、文部科学省のSBIRフェーズ3事業に採択されています。
ロケットのタンクは重要な部品で、特に液体燃料を使用するロケットの場合、燃料とタンクがロケット全体の重量の大半を占めるため、安全性はもちろんのこと、軽量性、貯蔵効率、耐圧性、強度など、タンクには厳しい条件が求められます。ロケットは液体水素(-253℃)、液体酸素(-183℃)、液体メタン(-160℃)などの極低温燃料を使用するため、タンクには過酷な極低温環境に耐える性能が求められます。しかし、極低温環境では、タンクに使用される材料が複雑な挙動を示すため、従来のタンク開発手法ではその挙動を予測することが困難です。また、タンクを軽量化しようとすると、軽量化と強度・剛性がトレードオフの関係になり、開発過程で安全性が損なわれることが多く、課題となっていました。そこで両社は、宇宙輸送コストの低減を図るため、燃料タンクの主材料に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用し、燃料タンクの軽量化、高強度化、低コスト化を実現する次世代ロケット用極低温対応新型燃料タンクの開発を目指し、サロゲートモデルを用いた設計最適化システムの開発を共同で開始することとしました。
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本共同研究の第一段階として、タンク設計における機械的応答(剥離や破損など)を予測するAIモデルと、このモデルを用いた設計最適化システムを開発し、2024年12月に完成しました。本モデルは、AI技術と構造解析を融合させたサロゲートモデルであり、極低温環境における設計の機械的応答を予測するAIモデルです。本モデルを搭載した設計最適化システムを用いることで、複数の設計要件(軽量化、安全性など)を同時に最適化することが可能となり、タンク内壁の最新自動積層造形(AFP)技術に対応した実用的な設計手法として確立しました。第2フェーズでは、第1フェーズで開発した設計最適化システムを用いて、タンク構造の最適化、特にタンク口金からの漏れを防止するための構造解析を行っています。今後、両社は、第2フェーズでの解析結果を踏まえ、ロケットへの実用化に向けた技術展開を図るとともに、軽量かつ安全な新構造の燃料タンクの開発に共同で取り組んでいく予定です。
今回開発したサロゲートモデルを用いた設計最適化システムは、航空宇宙産業における極低温機器や構造部品、プラント産業における極低温貯蔵タンクをはじめとする自動車産業、トラック、重機、建設機械、その他HDV(Heavy Duty Vehicle)における次世代燃料(水素、天然ガス等)タンクなど、幅広い分野での応用が期待されます。
ISCとのコラボレーションを通じて SUPWAT は、宇宙輸送コストの低減を目指し、軽量かつ安全な新しい燃料タンク構造を開発します。また、SUPWATのビジョンである「インテリジェントなものづくりの時代を創る」を実現するため、本技術の幅広い産業・分野への応用を通じて、製造業の技術革新に貢献していきます。
ソース PRタイムズ

