Orizuru Therapeutics Inc.と Peptigrowth Inc.は、2023 年 8 月 22 日に発表した、Orizuru Therapeutics が開発する再生医療製品に使用される組換え成長因子に代わる化学合成ペプチドの共同開発を完了したことをお知らせします。本ペプチドは、遺伝子組換え型成長因子と同様に細胞受容体に結合し、細胞内でリン酸化やシグナル伝達を誘導し、多能性幹細胞の分化・増殖を誘導することが確認されています。
オリヅル・セラピューティクスは、細胞治療製品と革新的なiPS細胞関連技術(プラットフォーム・イノベーション)を社会に提供することを目指し、iPS細胞由来の心筋細胞や膵島細胞を用いた再生医療の研究開発や、他の事業会社や学術機関と連携した開発候補シーズの事業化支援に取り組んでいます。
ペプチグロースは、ペプチドリーム社独自のペプチド探索技術を活用しています:PDPS® (Peptide Discovery Platform System)を活用し、"成長因子代替ペプチド "を開発しています。製造コストの高さ、原料の安定性、製造ロット間の不均一性、生物学的原料規格など、従来の血清型成長因子や遺伝子組換え型成長因子の課題をすべて解決し、再生医療・細胞医療産業のさらなる普及・拡大に貢献することを目指しています。
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今回の共同開発では、ペプチドリームが持つPDPS®を基盤とした独自の創薬スクリーニング技術と、優れたペプチド合成技術・ノウハウを活用し、標的細胞受容体への親和性や細胞内シグナル強度を細かく調整した複数の候補ペプチドを作製し、オリヅル・セラピューティック社に提供しました。オリヅル・セラピューティクスは、独自技術で開発しているiPS細胞由来の分化細胞を用いた評価系を用いて、各分化誘導ステージにおける分化細胞の生存性や機能性を評価し、最適なペプチドを絞り込みました。両社は緊密な連携のもと、生理活性、化学的安定性、溶解性などを向上させ、従来の成長因子とほぼ同等の細胞増殖・分化誘導機能を有する画期的な成長因子代替ペプチドの創製に成功しました。
今回作製した成長因子代替ペプチドを用いることで、製造コストの大幅な削減が期待できるとともに、従来の遺伝子組換え成長因子の課題であった製造ロット間の品質差の懸念も解消され、オリヅル・セラピューティクスの経済合理性・生産性の向上が可能となります。本研究は、京都大学センターAMED「トランスレーショナルリサーチプログラム」(研究課題:iPS細胞由来膵島細胞を用いた1型糖尿病に対する細胞治療の開発)。
オリヅル・セラピューティクス代表取締役社長の野中武志は、「優れた技術力を持つペプチグロース社との共同開発により、成長因子代替ペプチドの創製に成功しました。臨床医療現場で実用化できる製品価格に近づくことで、iPS細胞技術の社会実装という目標に大きく貢献したいと考えています。"
ペプチグロースの杉本二郎CEOは、「iPS細胞を用いた再生医療製品の研究開発で注目を集めるオリヅル・セラピューティクス社と共同で、わずか1年半でこの革新的な成長因子代替ペプチドを開発できたことを大変嬉しく思います。日本の高い技術力によって生み出された本製品が、世界市場で広く活用され、業界の課題解決に貢献できることを心より願っております。"
ソース PR TIMES