三菱重工業は、四国電力株式会社から受注した伊方原子力発電所(愛媛県西宇和郡伊方町)向け使用済燃料兼用輸送貯蔵用乾式キャスク(MSF-32P)の初号機2基の製作を完了し、16日に同発電所に納入しました。同発電所では、2025年7月頃に現地で乾式貯蔵施設を開所・稼働させる計画で、三菱重工業は初期貯蔵用として計15本の乾式キャスクを受注。残りの13本は現在製作中。
今回納入されたドライキャスクは、直径2.6m、高さ5.2m、総重量約120トンで、同発電所1、2号機の使用済燃料32集合体を貯蔵することができます。乾式貯蔵の中核をなす乾式キャスクは、輸送と貯蔵の両方に使用できる専用容器で、使用済み燃料を一定期間貯蔵した後、他の輸送容器に移し替えることなく輸送することが求められるため、高い安全性と信頼性が求められます。
当社のドライキャスクは、実大9m傾斜落下試験などの安全性確認試験や、アルミ合金や樹脂などの長期健全性試験の結果を反映しています。その結果、4つの安全機能(格納、臨界防止、遮蔽、除熱)を60年間維持できるように設計されています。
さらに、原子力機器製造のノウハウを活かし、製造・検査を高度に自動化したキャスク組立専用工場を設立。短納期でコストパフォーマンスに優れた高品質な乾式キャスクの量産供給体制を確立し、高まる乾式貯蔵ニーズへの迅速な対応を図っています。
カーボンニュートラルやエネルギーセキュリティの観点から、原子力発電の活用ニーズはますます高まっています。当社は、原子力発電所メーカーとして培ってきた高い技術力を活かし、乾式貯蔵の早期実現とさらなる安全性の向上に取り組み、原子力発電所の安全・安定運転の継続に貢献していきます。
ソース 三菱