光量子コンピューティングの世界的リーダーであるザナドゥ社と三菱化学株式会社は、量子コンピューティングを利用した新しい半導体チップ製造技術の開発に向けた共同プロジェクトを開始しました。本共同研究は、微細化・複雑化が進むマイクロチップの開発に不可欠な極端紫外光(EUV)リソグラフィ(極短波長光を利用したウェハパターン形成技術)における量子プロセスのシミュレーションを可能とする新たな量子アルゴリズムの発見を目的としています。
EUVリソグラフィは、スマートフォンやスーパーコンピュータ、人工知能などの先端技術を実現する集積回路の微細化を促進する有望なウェハパターン形成技術として注目されています。しかし、微細化が進むにつれて、オージェ崩壊などの量子効果が重要視されるようになり、複雑な電子相互作用のためにリソグラフィプロセスのシミュレーションが困難になっています。量子コンピュータは、量子系のダイナミクスや光と物質の相互作用を直接シミュレートできるため、この制限を超える道を提供します。
このパートナーシップでは、以下の研究者が協力しています。 三菱化学材料設計研究所は、EUVフォトレジスト材料の分子構造、組成、反応性などに関する深い専門知識を提供します。また、EUV吸収、オージェ崩壊、二次電子効果などの重要な物理過程の基礎的理解と定量的分析を提供します。ザナドゥの量子アルゴリズムチームは、光と物質の相互作用や二次電子効果をモデル化するシミュレーション・アルゴリズムの設計において、量子アルゴリズムの専門知識を提供します。
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このパートナーシップは、半導体材料分野における量子コンピューティングの最初の具体的なユースケースを確立することを目的としています。半導体リソグラフィに関連する光と物質の相互作用をシミュレートできる量子アルゴリズムの発見は、半導体リソグラフィにおける貴重な前進です。 ザナドゥの使命は、世界中の人々が利用できる量子コンピュータを開発することです。
ソース PRNewsWire