一般社団法人ワンマンITアドミニストレータ協会は、心理士・臨床心理士の資格を持つカウンセラーが運営するカウンセリングルーム「エンカレッジ」と提携し、中堅・中小企業の社内情報システムを担当するIT技術者であるワンマンITアドミニストレータやスモールITアドミニストレータのためのメンタルヘルス・ホットラインを開設しました。
厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、メンタルヘルス不調による休職・退職者の割合は、情報通信業が32.4%、休職者が1.3%で、全産業の中で第1位となっています。特にITスタッフは、企業のデジタル化において重要な役割を担っていますが、企業規模に関わらず大きなストレスにさらされています。ストレスチェックで高ストレスと判定されても、"自分の状態を正確に把握できていない "状況にあります。また、中小企業では、ストレスチェック後の対応が不十分であったり、適切な相談窓口が見つけにくかったり、相談することをためらったりすることが多く、予防や早期対策が必要であるにもかかわらず、対応が遅れがちです。
そこで、ソロITシステム協会オリジナルのメンタルヘルス支援プログラム「ASAP(アスアップ、トゥモロー、アップ!)」を開発しました。数種類の心理テストを用い、CA(コラボレーティブ・アセスメント)の手法で1回完結型の心理療法を提供します。"自分を知り、自分を変える "ために、ソロITシステムや中小企業の小規模ITシステムをサポートします。カウンセリングの結果は、ITシステムの具体的なアクションプランに展開されます。中小企業のITシステム業務に特化した日本初のメンタルヘルス支援プログラムです。
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カウンセリングは、Zoomを利用したオンライン、または群馬県前橋市の群馬県庁内にある官民共創スペース「NETSUGEN」にて行います。群馬県は2024年の移住希望ランキングで1位を獲得しており、豊かな自然環境や食に恵まれ、都市部では医療環境も充実しています。カウンセリングだけでなく、近隣の自然環境の中でリフレッシュするセラピープログラムも提供し、独身者や中小企業のITスタッフの健康増進を目指します。
メンタルヘルス・ホットライン開設の背景
ストレステスト後の不十分な反応
2015年12月1日から従業員50人以上の事業所にストレスチェックの実施が義務化されました。10年が経過しましたが、50~99人の従業員のうちストレスチェックを実施しているのは74.5%にとどまっています。さらに、2025年5月8日、従業員50人未満のすべての企業に義務付ける労働安全衛生法改正案が衆議院本会議で賛成多数で可決。公布から3年以内に施行予定。
ストレスチェック実施後、企業はストレス度の高い従業員に対して適切な対策を講じる必要がありますが、専門知識を有する安全衛生担当者の不足、安全衛生委員会の空洞化、メンタルヘルス対策に関する専門知識の不足、予算や人員の制約等により、ストレスチェック後のフォロー体制が整備されている中小企業は20%程度と言われています。人手不足の現在、従業員のストレスを軽減し、パフォーマンスを最大化することが求められています。
増加するメンタルヘルス問題
厚生労働省の労働安全調査によると、中小企業のメンタルヘルス不調による休職者数は大企業の約半数ですが、2021年から2023年にかけて中小企業の休職者数は11%増加傾向にあります。一方、大企業は減少傾向。また、IT関連技術者(情報通信業)は全産業の約6%を占める一方、メンタルヘルス不調者は約12%と多い。
また、IT関連技術者の転職機会の増加による影響も懸念されており、転職後に職場環境の変化や人間関係の再構築などでストレスを感じる人が約87%もいると報告されています。COVID-19の大流行以降、中小企業においてもデジタル化への対応の必要性が高まり、ITシステム担当者などのIT人材の採用や社内異動で対応しており、こうした人材のストレスが高まっています。
ITスタッフのストレス
ITスタッフには、技術的なスキルだけでなく、経営層とユーザーとの調整や、ユーザーにとってわかりやすいコミュニケーションなど、さまざまなスキルが求められます。また、ITスタッフの80%近くが業務に追われていると言われており、ストレスチェック制度では高ストレス者に選ばれる可能性があります。業務上の兆候としては、業務に通常より時間がかかる、ミスや設定ミスが増えるなど。精神的兆候には、慢性疲労、疲労から回復できない感覚、集中力の低下、注意散漫の増加などがあります。行動に関する徴候としては、睡眠パターンの変化、過食や食欲不振などの食習慣の変化などがあります。
このような状況では、業務量の適正化、可能であればスタッフの増員、チーム編成の見直しが不可欠です。また、定期的なストレスチェックの実施や、産業医や専門家などの相談窓口を利用することも重要です。しかし、中小企業では、専門的な知識を持った安全衛生委員がいなかったり、社員が社内になかなか知らせなかったりすることで、社員が積極的に行動を起こさないケースもあります。さらに、相談したくてもどこに相談すればよいのかわからないという問題もあります。
ソース PRタイムズ